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東京地方裁判所 昭和41年(ワ)327号 判決 1967年7月31日

原告 全逓信労働組合

被告 福井秀政

主文

被告は原告に対し一七万二、八九七円及びこれに対する昭和三八年九月二日から支払済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

訴訟費用は被告の負担とする。

この判決は仮執行することができる。

事実及び理由

一  当事者の求める裁判

原告―主文同旨

被告―「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする」との判決

二  争のない事実

1  原告は、郵政労働者約二四万名で組織する労働組合である。被告は、かつて原告の組合員であつたが、昭和三七年三月末日もしくは同年四月二日をもつて原告組合を離脱したものである。

2  被告は、郵政職員であるが、原告の組合員であつた間、原告の機関決定に基く組合活動を理由として、郵政当局から昭和三三年一〇月期及び翌三四年一月期の昇給を延伸された。

そこで、原告は、その犠牲者救済規定(以下規定という)及びその施行細則(以下細則という。)の定めるところにより、被告に対し、右昇給延伸に対する補償金として、<1>昭和三三年一二月一五日六万三、二〇〇円(昭和三三年一〇月以降五ケ年相当分)<2>昭和三四年七月二〇日五、二〇〇円(仲裁裁定実施による昇給間差額等の増額につき再計算追支給分)<3>昭和三五年一〇月七日一三万一、六三〇円(昭和三五年七月一三日の細則改訂による精算支給分)<4>昭和三六年四月一四日五、八〇〇円(仲裁裁定実施による昇給間差額等の増額につき再計算追支給分)、合計二〇万五、八三〇円を支給した。

3  右支給当時及びその後の原告の規約、規定及び細則の内容及び改訂の経緯は、別紙のとおり(関係部分のみ摘記)である。

なお、別紙(G)、(H)、(I)掲記の細則第一五条別表によれば、一時金として支給される金額は、当該組合員が当初の昇給延伸後六〇才まで郵政職員として在職しその間引続き右昇給延伸による金銭上の損失を蒙るものとの前提に立ち、その間の年数(以下、基礎年数という。)を計算の基礎としている。

4  規定、細則の36年改訂は、昭和三六年六月一六日から二〇日までの間松江市で開催された原告の第一三回全国大会において出席代議員全員一致の意見で可決されたものであるが、被告は、当時原告の大阪中央郵便局支部長であつて、右大会に代議員として出席している。

5  36年改訂細則(別紙(H))第一五条(六)(その効力については争がある。)によれば、被告は前記原告離脱によつて、2記載の補償金総額の二五分の二一<被告に支給された補償金の基礎年数は二五年であつて、そのうち原告の組合員として在籍した年数は四年(端数切上)である。>に相当する金額一七万二、八九七円を原告に返戻すべきこととなる。

6  そこで、原告は被告に対し内容証明郵便(昭和三九年九月一日到達)により右金員の返還を求めた。

7  36年改訂前に原告の組合員の地位を離れた者で、規定ないし細則に基いて支給を受けた補償金の返還を原告から求められた者はない。

三  争点

(一)  原告の主張

1  被告は、原告の規約に基き、昭和三七年四月二日付をもつて除名された。

2  (1) 原告が犠牲者救済制度を設けたのは、原告が労働組合として受ける弾圧に対処し、それによつて組合員の蒙つた損害をできる限り補填してその動揺を防止し、よつて団結を維持強化するにある。したがつて、原告を離脱する者まで同様に救済を与える理由はない。

(2) 労働組合は、必ずしも弾圧による組合員の犠牲を救済しなければならないわけでもなく、その財政とにらみ合わせてその一部のみを救済することも自由である。原告としては、組合活動による犠牲全部を救済の対象とすることを志向しているものの、原告を去る者まで含めて救済するほどには、その組合財政は豊かでない。

(3) そこで、組合員の昇給延伸に対しては、以前から規定(別紙(B))第八条第二号の限度において、すなわち、組合員としての資格を有する間に限り、これを補償することとしている。そして、規定第八条第二号は、被告に対する補償金支給当初から存し、その後もその趣旨に変動はない。

そして、細則第一五条(40年改訂後は規定第四七、第四八条)は、規定第八条第二号を具体化した定めに過ぎない。

(4) 規定第八条第二号の運用として、組合員の損害が現実化した時点ではじめてこれに補償を与える方法もあれば、将来の一定期間に発生すべき損害分をも一括して前渡し支給する方法もある。後者の場合には、補償を受けた組合員が右期間中原告組合を離脱しないことを前提とすることとなる。

細則第一五条は、補償金の支給を受ける組合員は、35年改訂前にあつては当初の支給事由発生後五年間、右改訂後(40年改訂まで)は郵政職員としての在勤が予定される期間全部を通じて、引続き組合員の地位にあることを前提として、補償金の前渡しをすることとしたので、右期間内に当該組合員が原告を去つたときは前渡補償金のうち離脱後の期間に対応する部分を原告に返還すべき義務を負うのは規定第八条第二号の解釈から明らかなところであつて、36年改訂細則の返戻の定めを待つまでもなく当然のことである。

(5) なお、36年改訂によつて細則に初めて返戻の定めが設けられたのは、従前なかつた補償金受給者の原告脱退等の事象が相次いだため、その事態に応じて規定第八条第二号の趣旨を具体化する必要が生じたのである。この際細則は原告の組合員の地位を失う者の中死亡、退職の場合、すなわち、同時に郵政職員の地位を失う者からは前渡補償金の返戻を求めないこととしたのは、前記救済制度の目的及び原告が企業内組合であることに照らし十分根拠のあることであり、また40年改訂により返戻制度が廃止されたのは、補償金の支給方法を一括前渡しから毎年支給に改めたことに起因する。

3  36年改訂細則(別紙(H))第一五条(六)が被告の前記補償金について適用をみる理由は次のとおりである。

(1) 右細則の定めは、2に述べたとおり規定第八条第二号を合目的的に解釈したものに過ぎない。

(2) 右細則改訂は、二の4に述べたとおり、適法に機関決定されたものであつて、当時組合員であつた被告を拘束する。

4  <被告が原告組合を脱退したものである場合>

補償金返戻の定めを脱退者に適用することが許されないとの被告主張は理由がない。

(1) およそ、労働者の団結を本旨とする労働組合について脱退の自由は、特に保障されるべき筋合のものではない。

(2) 補償金返戻の制度は、脱退者から違約金を徴する定めと異なり、組合員の脱退を事実上いかほどか制約する結果をもたらすに過ぎないもので、法律上脱退を制限するものとして問題視されるべきものではない。

(3) 被告の主張は、補償金の前渡し支給は適法であるが、その返戻を求めるのは違法であるというに帰し、手前勝手の論に過ぎない。

5  <請求原因>

(1) 第一次請求―規定第八条第二号及び36年改訂細則第一五条(六)に基いて右所定の金員の返戻及びこれに対する右請求の翌日以降の民法所定の割合による遅延損害金の支払を求める。

(2) 第二次請求―民法第七〇三条に基く不当利得返還及びこれに対する右同旨の遅延損害金の支払を求める。

(二)  被告の主張

1  被告は、脱退の意思表示により昭和三七年三月末日限り原告の組合員の地位を失つたものである。

2  原告の設けた犠牲者救済制度による組合員に対する補償は、もともと返戻を予定しないものである。

(1) 右救済の目的は、原告の組合員が機関決定に基いて組合活動を遂行し、なんらかの損失を蒙つた場合にこれを原告が補償し、もつて、組合員が機関決定を遵守して行動することを確保するとともに組合活動の伸展を図るにある。

(2) 組合活動に基き組合員の蒙る不利益は、当該組合員が組合に在籍する間に止まらない。昇給延伸についていえば、郵政職員としての在職する全期間にわたつて不利益を蒙るものである。

ところで、前記救済は原告組合の恩恵としてなされるものでなく、組合員の共済ないし保険に類する制度である。

それ故に、原告の組合員は、規定第一六、第一七条等によつて所定の金員を拠出する義務を負い、原告は規約第五八条に定めるとおり、これを積立てて組合活動による犠牲者に補償金を支給するのである。

(3) よつて、細則には、36年改訂まで返戻の定めは存しなかつた。この事実及び二の7の事実はもともと補償金の返戻が予定されていなかつたことを意味する。

3  細則(36年改訂)第一五条(六)のうち脱退者に対する定めは、公序良俗に反し無効である。

(1) 労働組合を脱退する自由は、国民の基本的人権に属し、これを制約する措置は無効である。

(2) 脱退の場合に補償金の返戻義務を負う旨の定めは、脱退の自由を制約する。

(3) 原告は、規定、細則の36年改訂により「補償金」を「立替金」と名付けるとともに脱退者等に対し返戻義務を定めた。

立替という制度は2に述べた犠牲者救済の目的にそぐわないし、また、脱退者中退職の場合には返戻義務を課さなかつたのも根拠がない。してみると、右改訂は当時郵政職員の労働組合として郵政労、全特定などが新たに結成され、原告の組合員中原告を脱退してこれらに移る職員が出てきたので専らかような脱退を防止する意図の下になされたとみることができる。40年改訂において補償金返戻制度が廃されたこともこれを裏書している。

(4) なお、被告は、大会代議員として二の4に述べたとおり規定、細則の改定に賛成しているが、このことは所属支部の意見にしたがつたまでのことで右改訂につき被告個人の意見を表明したわけではない。

四  証拠<省略>

五  当裁判所の判断

1  (1) 労働組合は、一個の社団であつて、労働者が労働組合に加入すれば、自らの意思により、その組合規約及びそれに基く成規の機関決定の定めるところによつて権利を得義務を負うこととなる。

もつとも、労働組合は、その本質上多数決原理に支配される団体であるにしても、特定の目的をもつものであり、一方、組合員はその全生活関係をこれに委ねるわけではないから、組合員といえども、労働組合の本質ないし規約等によつて画される目的の範囲内において拘束を受けるに過ぎない。

(2) 労働組合が規約に基く機関決定により組合員に一定の金員を給付した場合、その際既にその返還についての定めがあれば、特段の事情のない限り当該組合員がこれに拘束されるのは当然である。しかし、組合員がいつたん給付を受けた後において、新たに機関決定をもつてその返還義務が設けられた場合にあつては、叙上の原則に立つて、右機関決定が当該組合員に対し当然に法的拘束力を有するか否かを検討する必要がある。

2  (1) 労働組合は、その組合員が組合活動のために蒙つた損失を補償する場合があるが、かような場合、組合員が当該労働組合の規約その他定めを待つまでもなく補償を受ける権利を有するものと考えるべき根拠はない。

(2) このことは、原告においてもいい得るところである。

そこで、原告の規約等につき検討する。

規約は、かような救済の運用を規定その他の機関決定に委ね(第五八条―別紙(A)及び成立に争のない甲第一号証)、さらに、規定は、その運用の大綱を定めるほか、その運用の細目を、決議機関において制定改廃する細則に委ねている(第八条第二号、第三〇条等―別紙(B)、(C)及び前掲甲第一号証)。

被告は、原告の規約、規定上、組合員はかような損失全部について補償を受ける権利を有するものと主張するようであるが、これを裏付ける根拠はない。被告の援用する規定第一六、第一七条(別紙(B))もかような意味をもたない。もし、原告の犠牲者救済が常に組合員の蒙つた損失の全部補填を意味し、その前提に立つて、規定第一七条が原告の機関においてそれに要する資金を算定してその必要に満つるまでこれを組合員に賦課するとの意味であれば、組合員が常にかような臨時資金を納付すべき債務を負うと解することは困難であろう。

3  以上の前提のもとに、36年改訂細則(別紙(H))第一五条(六)の解釈、適用について判断する。

(1)  36年改訂の前後で、規定第八条第二号(別紙(B)(C))及び細則(別紙(G)(H))自体は、細則第一五条(六)の新設を除いては、その趣旨に変化があつたとは認められない。そして、「補償」、「救済」・「支給」の字句の差は、規定及び細則に基いて組合員に支払われる金員の返還の要否についてそれ自体では意味をもたないというべきである。

(2)  原告は、右改訂細則第一五条(六)が規定第八条第二号の解釈を示したに過ぎないものと主張するようであるが、これを肯認することはできない。もし、返戻すべき額が組合員として資格を有する期間に蒙つた損失を可及的正確に計算してそれを越える部分にそのまま合致するならばこれを規定第八条第二号の解釈と呼び得るかもしれない。しかし、右の定めはこれと異り規約、規定の定める範囲内で制定された運用細目の性質をもつものであつて、補償金を受けた組合員に対し一定の場合にその一部又は全部を返戻すべき義務を新たに創設した定めであることが明らかである。

(3)  右の定めが右改訂前に給付を受けた補償金にも適用されるか否かにつき規定、細則とも明文を欠く。けれども、(1)に述べたように右改訂前後において給付される補償金の性格、金額等につき他に変化がない以上、少くとも35年改訂後に給付された一括前渡補償金については、右の定めが一様に適用されると解するのが公平に合致する。

(4)  被告が受けた補償金の給付のなされたのは、一部は35年改訂前であるが、二の2<3>の給付が右改訂による精算である以上、補償金全部が右の定めの対象となると解すべきである。

(5)  もつとも、35年改訂前に原告を離脱した者で原告から補償金返戻を求められた者はないが、右事実は、右改訂前には返戻の定めが存せず、右改訂細則によつて返戻義務が創設されたとの事実(前記(2))に鑑みれば、ただ、かつて組合員であつた者も、その離脱後になされた機関決定の効力を受けるいわれはないとの当然の事理によるまでのことであつて、(3)の解釈を左右しない。

(6)  右改訂細則第一五条(六)は、補償金受給者に対し一定の場合に原告から支給された金員の一部又は全部の返還義務を課するものであるから、もともと、当該組合員にとつて、原告との関係から生じた事実に由来するところであり、その点においては、これが原告の機関決定に委ねられることは不当とはいえない。

さらに、右の返戻義務は、規定第八条第二号により当然生ずるわけではないにしても、その文言上、ある程度予想し得るところである。

(7)  そのうえ、被告は、右改訂に自ら代議員として賛成票を投じているが、その前後を通じ原告組合員として在籍中右改訂に異議を表明した事実は認められない。たとえ、被告の右賛成投票が所属支部の総意に基くもので自己の意思如何にかかわりないとしても、被告は右改訂の事実を知つた以上、その適用を免れるには遅滞なく異議を表明しておくのが組織の一員として信義にかなつた仕儀というべきである。

以上に述べたとおりであるから、いずれにしても、被告の受給した補償金について36年改訂細則第一五条(六)の適用があるといわなければならない。

4  被告が原告組合員でなくなつたのが脱退によるか除名によるかなお明らかでないが、被告主張のとおり脱退であるとしても、36年改訂細則第一五条(六)の適用の妨げとならないと断ずべきである。次にその理由を述べる。

(1)  原告は労働組合であるから、その目的及び運営形態に鑑み、その構成員の脱退は、その他の団体に比しはるかに重大な影響をもつのが通例である。したがつて、その防止のための措置は、相当の範囲において当然是認されなければならない。

しかし、組合員が脱退する自由もまた尊重されるべきであつて、特段の事情のない場合には、著しく脱退の自由を制約する措置は例えば、加入当初の規約による等当該組合員と予め合意があつても、その効力を肯定することは困難である。その意味において、組合員の脱退に機関の承認を要件とすること等、脱退自体を制約する措置はたやすく肯認できないところであるが、他面、例えば、ユニオンシヨツプ制のように脱退した組合員に不利益を課することにより事実上脱退を制約することは、広く容認されるところである。

(2)  前示細則の定めは、組合員の脱退自体を制約するものでなく、組合員は脱退した場合原告に対し一定の金銭債務を負うに至ると定めるに過ぎない。

そして、右金銭債務は、もともと原告が当該組合員に対して給付した金員の一部、事宜によつては全部の返還を求めるものに過ぎない。しかも、右債務額も、原告の給付額、その算定の基礎年数、給付後組合員であつた期間を基準としているものであつて、不合理なものといい難い。

(3)  原告が右の定めを設けるについて不当な意図は認められない(他の労働組合に対抗して自己の組織を防衛すること自体は当然許容される。)。

(4)  よつて、右の定めのうち脱退者に関する部分が公序良俗に反するとの被告主張は採用できない。

5  原告の第一次請求はすべて理由がある。

訴訟費用の負担―民事訴訟法第八九条

仮執行の宣言―同法第一九六条

(裁判官 高山晨)

(別紙)

(A) 規約(抄)

第五八条 組合は、犠牲者救済にあてるため全国大会できめる金額を積立てる。

2 犠牲者救済の運用は別にきめる。

(B) 規定(抄)

第二条 組合員が組合機関の決定に基いて組合活動遂行中、救済しなければならない事態の発生した場合は、次の種別により救済を行う。(一~四、六~八号略)

五、解雇又は免職以外の行政処分

第八条 第二条第五号に該当するものに対して次の救済を行う。(一号略)

二、昇給延伸の補償についてはその理由発生の月より組合員としての資格を有する間細則第一五条の方法により補償を行う。

<昭和三六年七月二〇日改訂(同日施行、36年改訂という。)後昭和三九年一〇月三一日改訂(同日施行、39年改訂という。)までの間施行のものは後掲>

第一六条 この特別会計の資金は月額六〇円を徴収する。(2項略)

第一七条 前条の外特に必要ある場合は、決議機関の決定を経て臨時資金を徴収する。

(C) 規定(抄)―36年改訂から39年改訂までのもの

第八条 第二条第五号に該当するものに対して次の救済をする。(一号略)

二 昇給延伸の立替金についてはその事由発生の月より組合員としての資格を有する間、細則第一五条の方法により支給を行う。

(D) 規定(抄)―昭和四〇年八月改訂(40年改訂という。)により追加されたもの

第四七条 ……行政処分……により救済の適用をうけたものが定期昇給の延伸となつた場合は、次の各号により救済をおこなう。(但書、二号以下略)

一 昇給延伸が発生した昇給期を基準として、以後、毎年その該当期分をそのものが組合員である期間補償する。(但書略)

第四八条 前条の適用をうけるものの本給昇給間差額に暫定勤務地手当の間差額を加えた額に、昇給延伸月数を掛けて得た金額にその額の一〇〇分の五を加えた額を延伸された定期昇給期に支給する。但し、延伸期数が二期以上ある場合は、その期数分をまとめて支給する。(二項以下略)

<注 本改訂により、細則は廃止されて、その内容は規定中に移され、また返戻制度は廃された。>

(E) 細則(抄)―昭和三四年八月二日改訂(同日施行、34年改訂という。)前のもの

第一五条 規定……第八条……に基く昇給延伸補償については、次の計算方法により算出した額を一時金とする。((ハ)略)

(イ) 昇給延伸の場合は、普通の昇給経過期間で昇給したものとした五年後の昇給間差額に昇給間差相当額に対応する勤務地手当を加えて、更に昇給延伸月数を乗じたものを基礎額とする。但し、基礎額は五年毎に更新するものとする。

(ロ) 前項の基礎額に昇給延伸期数二期毎に五年後の昇給間差額の二カ月分を加えたものを延伸された月を支給月として、五カ年間を一期として毎期毎に五倍した額を一時金とする。

(F) 細則(抄)―34年改訂のもの

第一五条 規定……第八条……に基く昇給延伸補償については次の(イ)及び(ロ)の方法により計算をおこなつた額を当初補償金として支給をおこない、更に五年を経過した後(ハ)の方法により打切り補償金を支給する。((ハ)、(ニ)略)

(イ)―(E)の第一五条(イ)本文に同じ

(ロ) 前項(イ)の基礎額に昇給延伸期数二期毎(……略……)に五年後の昇給間差額の二カ月分を加えたものを延伸された月を支給月とし、五倍した額を当初補償金とする。

(G) 細則(抄)―昭和三五年七月一三日改訂(同日施行、35年改訂という。)のもの

第一五条 規定……第八条……に基く昇給延伸補償については別表(一)、(二)によつて算出した額を一時金として補償する。((二)、(三)、(五)略)

(四) 補償金支給の限度は延伸期間が支給期日以降に亘る部分については四期迄とし、四期を超える部分については翌年該当月において支給する。

(H) 細則(抄)―昭和三六年七月二〇日改訂(同日施行、36年改訂という。)のもの

第一五条 規定……第八条……に基く昇給延伸支給については別表(一)、(二)によつて算出した額を一時金として支給する。((二)、(三)、(五)略)

(四) 立替金支給の限度は延伸期間が支給期日以降に亘る部分については四期迄とし、四期を超える分については翌年該当月において支給する。

(六) 前各号……により支給を受けたものが次に該当した場合は、その割合に応じた金額を返戻しなければならない。((ハ)(ニ)略)

(イ) 脱退(退職、死亡を除く)

(ロ) 除名

(ホ) 返戻の割合は、計算基礎となつた支給年数から組合在籍年数……(一年未満は一年とする)を差引いた残余の年数による比率とし六カ月未満は切すてる。(但書略)

(I) 細則(抄)―昭和三九年一〇月三一日改訂(同日施行、39年改訂という。)のもの

第一五条 規定……第八号……に基く昇給延伸補償については別表(一)、(二)によつて算出した額を一時金として補償する。((二)、(三)略)

注1 年令は補償金支給期該当月の年令とする。

2 年数は六〇才に至る迄の年数である。

3 間差額は別表(二)により求めた額とする。

(四)―(G)の第一五条(四)に同じ

(五)―(H)の第一五条(六)に同じ

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